行商をしていた祖母から「接客」を

私の祖母は魚の行商をしていて、汽車で七尾や富来(志賀町)に行っては海産物を売り、米と交換して子どもを育てたそうです。大きな竹かごにタラやニシンの醤油漬けを入れて重そうに担いでる姿を今でも思い出します。そんなばあちゃんが1年に1度、お祭りの時だけは地元の夕市で魚を売っていました。魚の仕入れや加工で忙しいばあちゃんに代わって毎年店の番頭をするのが私の仕事。まだ小学生でしたが、お客さんにものを売ったり会話したりが楽しくて楽しくて。毎年夏が来るのが待ち遠しかった。自分が18歳で免許を取ったら、ばあちゃんを乗せて一緒に行商に回っていましたね。

学校に通いながら祖母と行商に行ったり魚の加工を手伝ったりしていましたが、そのうち「自分の店を持ちたい」という思いが強くなりました。ちょうどそのタイミングで朝市に出ていた知人が店を畳むというので、その場所を譲り受けて自分のお店を出すことにしました。

接客の仕方は祖母から学びました。何十年も行商をやっていた祖母にとってみればお得意さまは親戚のようなもの。お客さまの懐に自分から入っていっていた祖母のように、お客さまが気を張らず話しやすい雰囲気づくりに努めています。




板前だった父から「味」を


料亭を営む父からも多くのことを教わりました。魚の捌き方、干物の作り方は板前として調理場に立っていた父からすべて教わったものです。料理に関しては職人気質で一切妥協のない人でした。当店が調味料に至るまで、多少高価でもいいものを厳選して使うのは父の教えからです。「調味料はケチるな」とよく父は言っていました。「ふぐは骨のまわりの身が美味しいから骨付きのまま干物に」など、素材を知り尽くした父から様々なことを学びました。


“商いは人と人”の心を第一に

商売をしていてつくづく思うのは「商いは人と人」だということです。極論、輪島の魚はどこで買っても美味しいと思います。でも「良枝ちゃんおるから来たわ」とか「良枝ちゃんやから注文するね」と言ってもらえるととても嬉しいし、これからもそういうお店を目指していきたいと考えています。明るく、楽しく、時には後ろを向きたい時もあるけれど(笑)心は常に前向きに。「地道にコツコツ」をモットーに、この大好きな商売を続けていきたいです。